世界はフラットなはずだ
- Ngoc
- 2019年9月30日
- 読了時間: 3分
The World is Flatという本が初めて出版されて世界に衝撃を与えたのは2005年だったが、私がやっと読めたのが2012年あたりと遅く、かつ自分がまさにまったく同じ世界に生きていたので、(残念ながら?)なんの衝撃も感じなかった。
ただ、自分の中では違う意味のフラットな世界が始まっていた。
21世紀からオフショア・アウトソーシングという概念がアメリカとインドとの間で確立され、その後日本と中国、それからベトナムとの間でも同様の仕組みが徐々に築かれてきた。
その仕組みを作りだした最初の理由は賃金の差。よその国の労働者が同様のスキルを持っているのに10分の1、5分の1の給料で働いてくれる。インターネットのおかげで、地理的に遠く離れていてもコミュニケーションができる。これがThe World is Flatの中の世界。
だが、賃金の差の根本的な理由でもあるのが国と国の間の発展の差、故に教育の差、知識の差。やはり発展途上国の労働者が担えるのが高度な専門知識・スキルを必要としない単純作業だけだった。
かもしれない。
そうでもないかもしれない。
オフショア先の発展途上国の労働者からすると、生計のための仕事だから、言われた通りのことをなるべくそのまま従う、余計な質問、面倒な要らない議論は起こさない、言われた通りのことしかやらない。
依頼元の発展国の管理者からすると、どうせなら安価な労働者を下流工程に使うという大前提なので、不要な混乱を避けるためにも機密保持のためにも、必要最低限の情報しか教えない。それも、なるべく労働者が頭を使って考えて何かを自分で判断することをなくし、すべてが指示書に書かている通りにやれば良い。
「発展途上国の労働者でも、教育してあげれば高度な仕事ができるようになる」とは、誰かが考えていたのだろうか。
それも、特別な教育でもなく、ただ発展国のどの会社でもしていそうな新入社員教育レベルで十分だったり。
そんなこと、さすがに長くオフショアやってきた経営者たちが気づいていた。
インドも中国も、大企業であれば5年、10年が一瞬のこと。
今は既に、世界トップの各ブランドに、必ずと言っていいほど、オフショア国の手がコア技術に届いている。
中国が「世界の工場」から「世界の先端技術ハブ」に変わっている。賃金も、世界上位レベルに入っている。
一昔は賃金が安いという理由で中国に仕事を頼んでいたアメリカや日本の企業も、今や賃金が本国以上に上がっていても頼みざるを得ない状況に。
(だからTrumpさんがあれほど絶望的に"Make America Great Again" と叫んでいるでしょうが)
フラットな世界は、お金、賃金の側面でも、知識、スキルの側面でも成り立っている。
そんな変化のど真ん中にいる発展途上国、いや、貧しい国出身の私は、貧しくても人が可能性が十分にあると信じている。ただただ貧しいから、教育もその他各種手段・ツールへのアクセスが極めて限られている。
今ではまだまだ貧しい国々にいる人々に世界レベルの教育を与えてあげれば、彼らも世界レベルの仕事ができるようになり、世界レベルの生活・行動・思考が成立するはず。
一度通った道を、なるべく多くの人に歩んでほしい。いや、もっと大きな、立派な道を作ってほしい。自分は少しでも役に立てれば。
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