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本音と建前は日本だけの特産でもない

  • 執筆者の写真: Ngoc
    Ngoc
  • 2019年8月24日
  • 読了時間: 4分

よく日本人、日本文化の特徴として「本年と建前」が語られ、今は英語で「Honne and Tamemae」と表記されるほど有名な言葉となっている。

要は日本人は本当にしたいこと、本当に欲しいものをそのまま言わず、遠回した表現を使ったりしているから、特に慣れない外国人には誤解を招くことが多いという話。


例えば、ビジネスの場で何かと意見交換した後、

「大変興味深い話をいただきありがとうございました。」

というお別れの挨拶をもらうことがあるでしょうが、

これだけでは、おそらく、ただのお世辞の言葉で、興味深くも何もない可能性が高い。


この事例は外国人向けの研修教材によく出てくるが、大抵の外国人はこれを聞いて困惑した顔をします。

だって「興味深い」って言っているのに、それが嘘なのか?信じられない!


おそらく日本人からしたら、嘘というよりは、興味深いって言っているけれど深さにはほどがあるっていうことなんでしょうね。少なくてもせっかく相手の時間をもらい、話をしてもらっているのだから、「つまらなかった、時間の無駄だった」何て言ってしまったら相手も傷つくので、優しい心からのお気遣いなのでしょうか。

本当に興味深いのであれば、少なくても次回、○月○日の○時に、もっと具体的な詳しい議論をしよう、という次の約束があるはずです。


しかしながら、このような遠回した言い方をしているのは、実は日本人だけではないようだ。

例えば、この表も有名なもの。イギリス人が英語でどう言い回ししているか、それをオランダ人がどう誤解しているかについて。


例えば最後の行。「あなたのアイデアはオリジナルですね。独創的ですね。」という言い方。これでイギリス人が本音で言いたいことは「それバカじゃない。使えるわけない」という否定的な意味だけど、オランダ人がこれを聞いたら間に受けて自分のアイデアが高く評価されると理解してしまう。


つまり、日本では「欧米人はNOと思う時ははっきりNOと言う。はっきるNOと言わないのは日本人だけだ」と思い込んでいる人もたくさんいるかもしれないが、そんなことはない。欧米人だって、相手の気持ちを害しないように言葉を選んで言い方を選ぶことぐらいできる。

当たり前だけど、アジア人、中国人、ベトナム人だって同様のことができる。


例えば、日本人がベトナム訪問して現地のベトナム人に「私は日本が大好き、日本文化が大好き、着物が綺麗、桜が綺麗、ラーメンが美味しい」と言われることが多く、日本人にとっては嬉しくなるのでしょうが、ちょっと冷静になって考えてみてください。例え本音「日本人嫌い、ラーメン超まずい」と思っていても、それをそのまま言う大人はいるのだろうか。よっぽど喧嘩を売っているか、それかものすごい仲が良い遠慮要らずの親友か、でもない限り、普通言わないでしょう。

このぐらいの気遣いは日本人じゃなくても、何人だってできるはず。


ややこしいのは、文化ごとに言い方が変わったりして、日本人と違うパターンの建前があるので、日本の思考パターンそのまま持ったら誤解することがあるかもしれない。

が、おそらくどの文化にも共通するのは、言っていることではなく、やっていること、行動を見れば本音がわかるはず。ラーメンが美味しい、大好きって言っている人が、実際にラーメンを前にしてどのように食べているか。話の内容が興味深いと言っておいて次回もっと詳しい話を聞きたいと予定を立てているのだろうか。


少し難しい話になるが、「本音」は言葉で表されなくても、ボディーランゲージ、顔色、雰囲気に現れます。実はみんな感じてます。

これだから「日本人は冷たい、話しかけにくい」ということが世界で有名になっているのではないでしょうか。

本音を言わない、言い回しを使いすぎのだから、はっきり「それは嘘だ」とまで思わなくても、「この人はなんだか近寄りがたい、親近感を感じない、なんとなく信用しがたい」というなんとなくでも雰囲気で伝わっているのです。


外国の地で経営・マネジメントの仕事をして外国人の部下を持った日本人から「なかなか部下と仲良くなれない」という相談を受けていますが、その悩みをしていない日本人もたくさん知っています。

その悩みをしていない日本人に共通しているのは、素直に、120%の誠意で、全力全身全霊で、心を持って外国人部下に接しています。中では言葉が全く通じないケースも。お互いカタコトの日本語、カタコトの英語、カタコトのベトナム語という、とても不自由な会話のし方をしています。それでも、言葉が通じなくても、人間の心って意外と通じるのです。


そして、他人が自分に誠意を持って心をオープンに接してくるためには、まずは自分が自分の心をオープンにして、誠意を持って自分から接すること。

このルールも世界中のどの文化においても共通するのではないでしょうか。

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