外国人活用事例(3):オフショア開発と縫製工場
- Ngoc
- 2019年5月5日
- 読了時間: 3分
更新日:2019年5月7日

日本の大手システム開発会社(いわゆるSIer)は今おそらくどの会社も「オフショア開発」の委託先として中国、ベトナムあたりのシステムエンジニアを使っているのでしょう。
一システムを作り上げるまでの工程を簡易的に表すと、
要件定義→設計→製造→検証→導入(納品)というステップになります。

さて、これらの工程のうちどれを海外のエンジニアに依頼するか?
今やほぼSI業界の常識となっている答えが「製造工程」でしょう。
その理由は、ずばり、
「コミュニケーションコストが最も低い依頼し方だから」です。
外国に「製造」を依頼するために、日本から伝えるべき依頼内容とは、前の工程の中間成果物である「設計書」そのもの。
設計書を渡し「設計書通りに作ってください」という依頼内容になります。
つまり、外国にいる製造工程を担当するエンジニアに対するインプットとなる情報が「設計書」となりますが、
設計書は技術文書なので、比較的人間の感情、センス等の要素が入らないのです。
その技術に関する知識・スキルを持っている人間同士であれば、この文章を読むだけでほとんど誤解がなくスムーズに伝えたいことが伝わるのです。
つまり、コミュニケーション方法は基本的に「渡された文書を読んで理解する」ことになります。
(もちろん質問や打ち合わせ等がまったくないわけではないが、基本的に設計書に書かれた内容の確認会がほとんど)
比較してみると、例え「設計」を依頼するとしたら、そのインプットとして「要件定義」を伝えないといけないのだが、要件定義書はビジネスよりの文書なので、読み手がビジネスの背景、システム利用者の特徴等まで理解しないと、要件の意味が誤解されることが多い。内容を伝えるためには「要件定義書」以外にこれらの情報を何らかの形で説明しないといけない。そして、これらの背景情報までお国柄、文化等の要素も入ったりするので、外国にいる外国人に理解を求めるのは極めて難しいことである。
仮に「要件定義」自体も依頼するとしたら、担当者はなぜこのシステムを作るかというビジネス背景をしっかり理解し、ビジネス企画者や予定利用者に何回も打ち合わせを行い、利用者が使いたいシステム機能を洗い出す、という作業をすることになる。となると、その担当者が行うべきコミュニケーションは「文書を読む」どころか、いろんな人といろんな形の会話をしなければならない。外国にいる、日本語も母国語ではない者には、ほぼ不可能に近い。
結論、外国に「製造」の仕事を依頼するのが一番、作ってほしい物が誤解されず期待通りに作られるということになります。
システム開発とはまったく違う業態で、アパレル業の縫製工場がまったく同じ仕組みで海外に製造を依頼しています。

本社でコンセプトデザインから技術設計を作り、技術書として各パーツの正確な形や寸法、組み立ての順番、それに原材料を丸ごと外国の縫製工場に渡します。工場では書かれた寸法通りに布を切り、書かれた順番通りに縫う。日本の洋服ブランドは中国やベトナムを使ったり、米国の洋服ブランドはバングラデシュを使ったりしています。
どれも、外国人に仕事を依頼するという作業を長年経験した者が導き出した最適な仕事の分割と依頼方法と言えよう。
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