外国人は行間を読んでくれない
- Ngoc
- 2019年7月6日
- 読了時間: 3分
外国人の従業員が、言われた作業をするだけになってしまっている、自ら回り込んでやらない、行間を読めない、という相談を社長から受けました。
一般的に日本の企業では、上司に1を言われたら行間を読んで2,3、いや10もしてしまう社員が高い評価をもらえる優秀社員だ。
いや、実は、これは「日本企業」だけの話ではない。どこの上司だって、期待以上のことをやってくれる部下にはうれしくならないわけがない。
問題は、1だけ言われて2,3もやってしまうとすると、その2,3が「期待以上」となるか、「期待外れ」になるかの境かと。
「期待外れ」にならないためには、上司が言っていない「行間」を「正しく」読む必要がある。この「正しく」が難しい。
一般的に同じ日本人同士でもお互い言っていないことを正しく当てるためには、長い時間かけて一緒に仕事したり、友達として一緒に遊んだりするなど、お互いに慣れるための時間が必要な場合が多い。 しかし「日本人同士」と言っている時点で、大体は同じ教育を受け、同じ社会環境で育ってきたという少なくても既に20年ぐらいの「慣れ期間」があったわけです。
その「慣れ期間」がほぼゼロの外国人従業員と日本人社長の間には、「行間」を「正しく」読むことがほぼ不可能だということを、まず理解していただきたい。
なので、ステップとしては以下になるのではないかと思います。
(1)行間を正しく読めないことが当たり前。行間を正しく読むことを期待しない方が得策
(2)慣れ期間中は意識して行間に何があるかを教える。行間を読んでほしいということを伝える。
(3)上記の(2)のPDCAを回す=小さなことから試し、行間を正しく読めるかどうかを確認し、間違いを指摘し、やり直せる体制を作る
(4)「行間が読める」となるまでは年単位がかかることを理解し、それまでに(その他の新人のためにも)なるべく伝えたいことは明確に伝え、行間を少なくする(なくする)努力もする。
そして、順番としては(4)をやってその内容を使って(2)を教えるというやり方も妥当かもしれない。
(1)としては、新人教育の段階から「わからないことは必ず質問する。自分勝手な思い込みをしないで、小さなことも必ず質問する」と伝える。日々の仕事でもそれを繰り返す。この方が、仕事上変な方向に進められてしまうリスクが少なく安全だ。
そして、その細かな(めんどくさい)質問に答える日々の重ねが、(4)のコンテンツを作り上げる日々でもある。そして、実はその過程は(2)の過程でもある。ある程度慣れてきたら(3)を徐々にやり出してみると良い。
私が今まで見た企業では(1)と(4)をやってある程度成功した企業が多いが、(2)(3)を意識して企業がとても少ない。まあ、他人を変えるより自分を変えた方が簡単、ということなのかもしれない。それとも最初から諦めてしまっているだけかもしれない。
システム開発会社においては、(4)の材料が大体「設計書」、もしくは「要件定義書」であることが多い。
その裏には日本人が無意識にも前提においてしまっている社会文化・商習慣が多々存在している。
外国人のエンジニアが期待通りに開発できるためには「この要件とはどういう意味か?」という質問を、どんなに細かいレベルでもしてもらい、コツコツ答えし、何回もレビュー・確認・テストを繰り返す。
非常にめんどくさいし、「なんだこの外人のバカ」という感情にもなったりするかもしれません。そういう時は、ぜひ(1)を思い出してください。外国人の彼らは、まったく違うバックグラウンドで育ててきたわけだから、お互いを正しく理解しあうことには時間と努力がかかるわけです。
また、(2)の活動としては仕事の話以外に日常生活の話をしたり、一緒に遊びもしたり文化交流を深めたりするのも効果が高い。そして日常のひょんなことでも「ここにはこういう行間が潜んでいるんだよ」ということを絶えなく教えてあげるのが良いのです。
上級者は、視線を変えて、外国人の行間を読んでみてください。
きっとおもしろい世界が見えると思います。
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